でも正直に言うと、僕の場合は少し違いました。怖かったのは断られることじゃなくて、「本当に週1回来る必要があるのか、自分でもわからなかった」ことでした。
Jリーグ時代は、毎日見ていた
前職では、Jリーグの選手たちを毎日ケアしていました。
練習前・練習後・試合前・試合後。選手は来てくれるし、僕は毎日状態を把握できる。「今日は右太もものハリが強い」「昨日より可動域が出てきた」と、改善をリアルタイムで感じられる環境でした。
ところが、治療院で一般の患者さんを診るようになって、突然わからなくなりました。
「この方は、週に何回来てもらえば良くなるんだろう?」
毎日は現実的じゃない。でも月1回では少ない気がする。週1回?2週に1回?その答えが、開業当初の僕にはまったく見えなかったんです。
「責任が持てない」という言葉にできない不安
確信が持てないまま「週1回来てください」と言うのは、なんだか無責任な気がしました。
「効果が出るかどうかわからないのに、お金を払わせていいのか」
この感覚が、「通ってください」という言葉を飲み込ませていた本当の理由でした。断られることへの恐怖、というより、自分自身への不信感だったんだと思います。
兄の一言「まず週1回と決めなさい」
11月16日、兄に「通ってくださいって言ってる?」と問われた夜、続けてこんなことを言われました。
「頻度がわからないなら、まず週1回と決めなさい。やってみて、改善したらペースを落とせばいい。最初から正解を出そうとしなくていい」
シンプルすぎる答えでした。でも、それが正しかった。
翌日から「週に1回、通ってください」と全員に伝え始めました。最初は確信なんてなかった。でも言い続けるうちに、患者さんが実際に良くなっていくのを目の当たりにするようになりました。
「改善している」が見えた時、確信が生まれた
週1回通ってくれた患者さんが、3回目に「肩が楽になってきた」と言ってくれた。4回目に「久しぶりによく眠れた」と教えてくれた。
その積み重ねが、確信に変わりました。
「週1回来てもらえば、この方は良くなる」
この確信さえあれば、「通ってください」という言葉は自然と力を持ちます。逆に言えば、確信がないまま言っても患者さんには伝わらない。言葉の力は、確信に比例します。
「確信」を育てる3つのステップ
今の僕が実践していることを整理すると、こうなります。
頻度に迷っているなら、最初は週1回で統一してください。完璧な答えを出してから始めようとすると、永遠に始められません。「週1回来てください」と伝えることは、患者さんへの宣言であり、自分への宣言でもあります。
今の僕は、症状がつらい方には最初から週2回以上をお勧めしています。検査で状態を確認しながら、改善が見えてきたらペースを落としていく。この流れが身についたのも、まず「週1回」から始めて、経験を積んだからです。
毎回、前回との比較ができる検査をしてください。可動域・圧痛・姿勢・患者さんの自己評価でも構いません。「前回よりここが変わった」という客観的な変化を確認することが、患者さんの安心につながり、自分の確信の根拠になります。
症状が落ち着いてきたら、「だいぶ良くなってきましたね。少しペースを落として2週に1回にしてみましょうか」と提案できます。最初から完璧な頻度を出そうとするより、改善に合わせて調整していく方が、患者さんにとっても自然です。
「指令モード」に入るという感覚
提案するのがどうしても怖い方に、ひとつ実践的なコツをお伝えします。
自分で「週1回と決める」→「自分はその決定を患者さんに伝える役割を担っている」という感覚に切り替えてみてください。
「提案する」じゃなくて、「決定事項を伝える」。
感情が入らない分、声に変な力みが消えます。「私はこの患者さんに週1回通ってもらうことを決定した。それを今から伝える」という感覚でドアを開けると、意外なほど自然に言葉が出てきます。
最初から正解を求めなくていい
確信は、最初から持てるものじゃありません。
言って、試して、確認して、また言う。その繰り返しの中で育つものです。
「週に1回来てください」という言葉が自然に出るようになった頃には、あなたの頭の中には「なぜ週1回なのか」という根拠が積み上がっているはずです。
始めない限り、確信は生まれません。まず、決めてしまいましょう。

