原因は技術でもなく、立地でもなかった。「売上の仕組み」を理解していなかっただけだった。開業2年目の大晦日、兄から教わったシンプルな公式が、その後の経営をすべて変えた。
月商89万円で、ぴたりと止まった2年間
開業2年目、月商89万円まで伸びた。人脈ゼロからのスタートだったことを思えば、これは本当に嬉しい数字だった。予約率も高く、患者さんとの関係も温まっていた。
でも、そこから先に進めない。何度チャレンジしても、90万円の壁が越えられない。
「この町の規模的な限界なのかな」。いつしかそう思うようになっていた。
でも本当の原因は、まったく別のところにあった。
大晦日に兄が教えてくれた公式
2年目の大晦日。実家で家族と年越しを過ごす中、経営の話になった。僕が言い訳を並べた後、兄は静かに言った。
「お前は、根本的に売上の仕組みが分かっていない」
そしてシンプルな公式を教えてくれた。
売上を上げる方法は、あと二つある。単価も頻度も、まだまだだ」
目から鱗が落ちた。シンプルすぎる。なのに、なぜ今まで気づかなかったのか。
「世の経営者は、こうやって数字を分解して考えているのか」。その瞬間、僕の頭の中に初めて「経営の地図」が広がった感覚があった。
3つのレバー:それぞれの意味と動かし方
この公式には、売上を動かす3本のレバーが入っている。それぞれ独立して動かせる。
3つのうち、どれか一つを2倍にすれば売上は2倍になる。全部を1.3倍ずつ改善すれば、2.2倍になる。
これが「地図」の意味だ。どこに向かえばいいか、何を変えればいいかが、はっきり見える。
僕が2年間、動かしていなかったレバー
兄の話を聞いて、すぐに気づいた。
僕が2年間やり続けていたのは、「カルテ枚数を増やすこと」だけだった。人に会い、頭を下げ、サッカーコミュニティに入り、新規患者を増やす努力を積み重ねてきた。
でも「単価」と「来院頻度」には、ほとんど手をつけていなかった。
単価を上げることへの罪悪感。「週2回来てください」と言えない恐怖。これらはマインドセットの問題だった。やり方ではなく、考え方が変わっていなかった。
「田舎だから売上が上がらない」と思っていた。でも、田舎が影響するのはカルテ枚数(新規患者の数)だけだ。単価と来院頻度は、場所とは関係ない。今いる患者さんとの関係の中で、いくらでも動かせる。
僕がずっと「田舎の限界」と呼んでいたのは、実はレバーを一本しか触っていなかった自分の問題だった。
3年目に全部同時に変えた結果
地図を手に入れた僕は、3年目の年明けに4つの改革を一度に断行した。
週休2日・8時間労働に縮小しながら、施術を30分に短縮し、週2回の来院を提案する。単価と頻度を同時に動かす挑戦だった。
2年間越えられなかった89万円の壁が、翌月にあっさり突破された。
レバーの存在を知っているだけで、経営はこれだけ変わる。
しかも、労働時間を減らした状態でこの数字が出た。
「地図」があれば、闇雲に走らなくていい。どのレバーを、どれだけ動かすかを考えながら動ける。その違いは、想像以上に大きかった。
あなたは今、どのレバーを触っていますか?
「売上を上げたい」と思っている治療家のほとんどは、「新規患者を増やす方法」を探している。
それは正しい。でも、もし今すでに患者さんが来ているなら、別のレバーに目を向けた方が早いかもしれない。
この3つの中で、あなたが意識して動かしているのはいくつですか?
一つだけなら、伸びしろは二つある。二つなら、一つある。三つすべてを意識して動かしているなら、あなたはすでに経営者として正しい方向を向いている。
「どうすれば売上が上がるかわからない」という状態は、地図を持っていない状態だ。まずこの公式を手帳に書いてみてほしい。それだけで、見え方が変わるはずだ。

