「値上げが怖い」を乗り越えた日

Management & Pricing

「値上げが怖い」を乗り越えた日

4,400円から6,600円へ。2度の値上げで何が起きたのか

矢上真吾

矢上 真吾
E-Life 代表 / 鉛灸整体師

2026.03.09

「値上げしたら患者さんが離れるんじゃないか」

開業してから何年も、この恐怖に縛られていました。開業時の施術料金は4,400円。そこから2度の値上げを経て、現在は6,600円。

値上げを決断するまでに何を考え、実際に何が起きたのかをお伝えします。

4,400円でスタートした開業当初

開業当初、施術料金を4,400円に設定しました。回数券も最初から導入していて、39,000円の10回券(1回あたり3,900円)でスタートしました。

「まずは来てもらうことが大事」「技術で満足してもらえれば、リピートしてくれる」。そう思って始めた料金設定でした。

技術は確実に上がっていました。Jリーグで培った経験に加え、毎年セミナーに通い、新しい技術を取り入れ、施術の精度は開業当初とは比べ物にならないほど向上していました。

でも、料金は4,400円のまま。なぜか。怖かったからです。

— ◆ —

「安くしないと来てもらえない」という思い込み

値上げが怖い理由を分解すると、こうでした。

「今の患者さんが離れるかもしれない」
「高いと思われて、新規が来なくなるかもしれない」
「近くに安い治療院があるから、そっちに行くかもしれない」

全部「かもしれない」なんですよね。実際に起きたことではなく、自分の頭の中だけの恐怖でした。

「安さ」で選ばれた患者さんは、「もっと安い場所」が見つかれば、そちらに行きます。これは値段の問題ではなく、信頼関係の問題でした

冷静に考えてみると、自分が本当に大切にしたい患者さんは、500円や1,000円の差で来なくなるような方ではありませんでした。

— ◆ —

1回目の値上げ——「ちょっと安すぎたな」

最初の値上げは、2015年。自分で「ちょっと安すぎたな」と思っての決断でした。

開業時
施術料 4,400円 / 回数券 39,000円(10回券・1回3,900円)
2015年
施術料 5,500円 / 回数券 40,000円(8回券・1回5,000円)
「ちょっと安すぎた」と自分で判断し、回数券も10回から8回に変更。単価を上げた。

値上げした状態で1年間やってみました。予約率は80%を超え、毎日精一杯施術をしていました。

でも、売上は89万円止まり。100万円には届かなかった。

「こんなもんかな」——正直、そう思っていました。

89万
予約率80%超えでも届かなかった壁
値上げして、1年間やっても100万円に届かない。この事実が、次の一歩への布石になりました。
— ◆ —

89万円の壁と、兄からの一言

2015年の年末、兄から売上の公式(客数×単価×頻度)を教えてもらいました。

その瞄間、「違うんだ」と思いました。

予約率はもと80%を超えている。これ以上回数を増やすのは難しい。だとしたら、変えるべきは「単価」だったんです。

その時に兄から教えてもらったのが、「治療院実践会」の存在でした。月額1万円で、月に1回動画が更新される。その動画で経営の原理原則を学ぶという形式でした。

— ◆ —

2回目の値上げ——治療院実践会での気づき

治療院実践会で学ぶうちに、翌年の4月から「2ミリオンクラブ」というプログラムが始まることを知り、申し込みました。売上200万円を目指すためのプログラムです。

実践会で言われた言葉が、今でも心に残っています。

「先生方の技術って、そんなに安いものでしょうか。まず3年間専門学校に行って、それからもずっと臨床を続けてきた。その技術は、そんなに安いものではないと思います」

この言葉で覚悟が決まりました。

2016年
施術料 6,600円 / 回数券 44,000円(8回券・1回5,500円)
治療院実践会で「もっと単価を上げた方がいい」と言われ、決意。売上200万円を目指すための一歩。
— ◆ —

実際にやったことと患者さんの反応

値上げにあたって実際にやったことはこうです。

POINT 01
既存の患者さんには2ヶ月前に告知

今通院している患者さんには「2ヶ月後に値上げします」と直接伝えました。突然の変更は不信感につながります。時間をかけて丁寧に伝えることが大切でした。

POINT 02
新規の方はその日から新料金

新しく来る方には、告知した日から新料金を適用しました。既存の方への配慮と、新規への切り替えを分けることで、スムーズに移行できました。

正直、値上げした月は緊張しました。予約が減るかもしれない。クレームが来るかもしれない。

やはり来なくなった方は一定数いました。正確な割合は覚えていませんが、確かにゼロではなかった。

でも、想像していたよりもずっと多くの方が残ってくれました。

「先生の技術なら当然ですよ」「もっと早く上げてよかったのに」——そう言ってくださる方もいました。

— ◆ —

値上げ後に起きた変化

値上げ後、数字に明確な変化が起きました。

89→124万
実売上が89万円から124万円へ
実際に患者さんの施術で得た売上が124万円。回数券購入分を含めると135万円を記録しました。
変化①:売上が大幅に上がった

単価が上がったことで、同じ施術数でも売上が大きく変わりました。89万円から124万円へ。約40%のアップです。

変化②:患者さんの質が変わった

「安いから来る」ではなく「この先生だから来る」という患者さんが増えました。結果的にリピート率が上がり、紹介も増えました。

変化③:自分に自信が持てるようになった

「自分の施術には、この金額の価値がある」と腹を括れたことで、施術中の自信が変わりました。それは患者さんにも伝わります。

— ◆ —

価格は「覚悟」の表明

価格設定は、技術や経験の「自己評価」です。

安い料金で続けるということは、「自分の施術にはこの程度の価値しかない」と自分で言っているようなものです。

もしあなたが今、「値上げしたいけど怖い」と感じているなら、それは正常な感覚です。僕もそうでした。

でも、その恐怖の正体は「まだ起きていないことへの不安」です。実際に値上げしてみると、本当に大切な患者さんは残ってくれます。

値上げは、患者さんへの裏切りではありません。「もっと良い施術を、もっと長く届けたい」という覚悟の表明です。

矢上真吾

矢上 真吾
合同会社E-Life 代表 / 和からだみなおし処 院長
鉛灸師・あん摩マッサージ指圧師(国家資格3種)。元Jリーグヴァンフォーレ甲府トレーナー10年 / 臨床23年。千葉県館山市で開業し、人脈ゼロから口コミだけで治療院を軌道に乗せた経験をもとに、治療家の経営・集客について発信しています。
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