開業したての院長・サロンオーナーから経営相談を受けるとき、私は必ずこの質問をします。
「患者さんに、『通ってください』と言えていますか?」
多くの方が、少し間を置いてから「……言えていないかもしれないです」と答えます。
この一言に、売上50万円の壁を越えられない理由のほぼすべてが詰まっています。今日はその話をします。
開業して9ヶ月、売上50万円の壁を越えられなかった
私はJリーグ・ヴァンフォーレ甲府のトップチームトレーナーとして10年間働いた後、2014年2月に千葉県館山市で「和 からだみなおし処」を開業しました。
技術には自信がありました。Jリーグという最高峰のフィールドで、プロアスリートの身体を10年間見てきた経験があります。「地域に根ざした鍼灸院として、絶対に結果を出す」という熱意も十分ありました。
しかし現実は違いました。
開業から9ヶ月間、売上50万円を越えることができませんでした。7月に月47万円という最高記録を出したものの、そこから下降傾向に入ってしまいました。
不思議なことに、新患さんは来ていました。月に10人から20人は来院がありました。集客という意味では、ゼロではなかったのです。
では、なぜ売上が上がらなかったのか。
原因は集客ではなかった——患者さんへの「覚悟」がなかった
当時の私が足りなかったのは、集客力でも技術力でもありませんでした。
来た患者さんに「通ってください」と言えていなかった。
ただ、それだけのことでした。
新患さんが来ても、1回の施術で終わってしまう。通院計画を伝えることもなく、次のアポイントを取ることもなく、患者さんをただ帰していました。
なぜそんなことになっていたのか。当時の自分を振り返ると、根本的な原因が見えてきます。
兄の一言で、すべてが変わった
転機は、兄との会話でした。兄も鍼灸院を経営しており、私の院の状況を聞いてこう言いました。
「真吾、お前さあ——
患者さんに『通ってください』って言ってる?」
この一言が、頭を殴られるような衝撃でした。
言えていない。まったく言えていない。
言えていないどころか、言おうとすら考えていなかった。なぜ言えていなかったのか——そこで初めて自分の本質的な問題と向き合うことになりました。
「お金をいただく恐怖」の正体
Jリーグのトレーナーとして10年間働いていた私は、患者さんから直接お金をいただく経験をほとんどしていませんでした。
チームとの年間個人契約。お金のやり取りは私と会社との間で完結していました。目の前の選手から「ありがとう、これ受け取ってください」という場面は、10年間ほぼありませんでした。
だから開業して初めて、患者さんから直接お金をいただく立場になったとき、無意識のうちに恐怖感・嫌悪感を抱いていたのです。
「通ってもらうようにお願いするのは、押し売りではないか」
「自分の施術にそこまでの価値があるのか」
「患者さんに嫌われたくない」
これらはすべて、自分の仕事への誇りと覚悟のなさから来ていました。
裏を返せば、「通ってください」と言えない院長は、「この患者さんの身体を自分が責任を持って診る」という覚悟がまだ定まっていないということでもあります。覚悟があれば、「この症状を改善するには最低でも〇回の通院が必要です」と自信を持って伝えられるはずです。
私はそれができなかった。Jリーグのトレーナーとしての誇りはあったかもしれませんが、「この地域の患者さんの身体を自分が責任を持って診る」という覚悟が、まだ定まっていなかったのです。
50万円を越えられない院長に共通すること
12年の経営経験の中で、さまざまな院長・サロンオーナーと話してきました。うまくいっている方、苦しんでいる方——両方を見てきて、一つのことに気づきました。
月50万円に届かない方は、総じて同じ状態にあります。
- リピートにつながらない
- 通院計画・改善計画を患者さんに伝えていない
- 「次回はいつ来ればいいですか?」と患者さんから聞かれるのを待っている
- 料金の話をするのが苦手・申し訳なく感じている
- 「押し売りになるのでは」という罪悪感がある
これらはすべて、お金のマインドブロックと覚悟の不足から来ています。集客の問題ではありません。
先輩の院を手伝ったとき、月の来院者が2人という状況を目にしました。技術は十分にある方でした。でも患者さんに「また来てください」と伝えられていなかった。この状況は、まさに私が開業当初に抱えていた問題と同じでした。
覚悟を決めるとは、具体的にどういうことか
「覚悟を決めろ」と言われても、抽象的すぎてわからないという方もいると思います。具体的に何をすればいいのか、私の経験からお伝えします。
①まず「自分がこの患者さんを診る」と決める
技術や仕組みより先に、これだけです。「目の前のこの方の身体を、自分が責任を持って診る」と、腹を決めること。これが覚悟の第一歩です。この覚悟がなければ、どんな集客方法を学んでも、何も変わりません。
②「通ってください」と言う
覚悟が決まれば、次は言葉にするだけです。「〇〇の症状を改善するには、まず週1回×1ヶ月の通院をお勧めしています」——これを、自信を持って伝えてください。それだけで、リピート率は劇的に変わります。難しい仕組みも、特別なトークも必要ありません。ただ、言うだけでいいのです。
③お金をいただくことは、感謝の証だと知る
私の両親は脱サラして鍼灸整体院を開業しました。子どもの頃から、治療院の中で育った私にとって、「ありがとうございます、良くなりました」という患者さんの言葉は、日常の風景でした。
その光景を思い出したとき、気づきました。お金をいただくということは、その分だけ良くなった方が増えているという証なのだと。遠慮することは、患者さんの「良くなりたい」という気持ちに応えないことと同じです。
お金をいただくことへの遠慮は、患者さんへの誠実さではありません。
「この方を良くする」という覚悟を持ち、正当な対価をいただくことこそが、本当のプロの姿です。
まとめ——技術より先に、覚悟を決めよう
売上50万円の壁を越えられなかった私が、9ヶ月越しにそれを突破できたのは、兄の一言で覚悟が定まったからです。新しい集客方法を覚えたからでも、技術が上がったからでもありませんでした。
開業当初に覚悟を持って向き合えていれば、あの9ヶ月はもっと違う結果になっていたかもしれません。だからこそ、今まさに苦しんでいる院長・サロンオーナーに伝えたいのです。
まず、覚悟を決めてください。
✓ 目の前の患者さんの身体を、自分が責任を持って診るという覚悟
✓ お金をいただくことへの誇りと覚悟
✓ 「通ってください」と言えるだけの確信と覚悟
集客・SNS・MEO・ホームページ——経営のテクニックはその後です。
e-lifeでは、この「覚悟」の部分から一緒に考えます。技術はある、熱意もある。でも患者さんに向き合う覚悟の定め方がわからない——そんな方は、まず無料相談からお話しください。
