僕がリピート率の壁を越えたのは、2つの転機があったからだ。
「お大事に」しか言えなかった頃
施術中は集中している。体の状態を見て、触って、ほぐして、矯正して。ここに関しては、Jリーグで10年やってきた経験がある。手技には自信があった。
でも問題は、施術が終わった後だった。
「お大事に」と言って、患者さんを送り出す。それだけ。
なぜそれしか言えなかったのか。正直に言うと、お金をいただくことへの罪悪感があったからだ。「通ってください」と伝えることが、お金を請求しているような感覚になって、どうしても言えなかった。
患者さんの頭の中は、おそらくこうだったと思う。「どうすればいいんだろう」「次はどうすればいいの?」──わからない状態のまま帰っていたはずだ。
でも当時の僕は、それに気づいてすらいなかった。
リピート率という概念すら知らなかった
今でこそ「リピート率」という言葉を普通に使っているけれど、実はこの概念を知ったのは開業3年目のことだった。
それまでは、リピート率という考え方自体を知らなかった。計算もしていなかった。
「なんとなく、来る人は来る。来ない人は来ない」──そんな感覚でやっていた。
だから、自分のリピート率が低いことにも気づいていなかった。問題を認識していないのだから、対策のしようもない。
1つ目の転機:兄の一言(開業1年目・11月16日)
開業1年目の11月16日。この日のことは、はっきりと覚えている。
兄にこう言われた。
「通ってくださいと言いなさい」
シンプルな一言だった。でも、当時の僕には重かった。
お金への罪悪感があって、「通ってください」と言えなかった僕に、兄は真っ直ぐにそう言った。
兄に言われた翌日から、僕は変わった。施術が終わった後に、こう伝えるようになった。
たったこれだけのことだ。でも、「お大事に」しか言えなかった僕にとっては、大きな一歩だった。
正直、この時点でリピート率がどれくらい上がったかは数字としてはわからない。リピート率という概念自体をまだ知らなかったから。ただ、おそらく50%もいっていなかったと思う。
それでも、「通ってください」と明言するようになったことで、確実に何かが変わり始めた。
2つ目の転機:問診→検査→カウンセリング→施術の仕組み化(3年目)
リピート率が本当に変わったのは、開業3年目のことだった。
きっかけは、治療院実践会の2ミリオンクラブで学んだ教えだ。
そこで教わったのは、問診→検査→カウンセリング→施術という4つのステップの流れだった。
①問診:しっかりとお体の状態を聞く
②検査:こちらで状態を把握し、評価する
③カウンセリング:どんな状態で、改善するにはどれくらいの頻度で、どれくらいの期間が必要かを伝える。「よろしければこのまま進めていきます」
④施術:そして施術に入る
この流れを知った時、衝撃を受けた。
しっかり問診して、検査して、カウンセリングで誠実に状態と治療計画を伝える。この流れの中で、患者さんは「この先生に任せよう」と決める。
施術後に何を言うかではなく、施術前の流れをどう作るか。ここにリピート率の鍵があった。
この4つの流れを実践し始めてから、リピート率は劇的に上がっていった。
リピートは「施術前」に決まっている
振り返ると、僕がリピート率を劇的に変えた経験は2回ある。
1回目は、「通ってください」としっかり明言したこと。兄の一言がきっかけだった。
2回目は、問診→検査→カウンセリング→施術の流れをちゃんと作ったこと。つまり、仕組み化したことだ。
どちらにも共通しているのは、誠実に、患者さんに伝えるべきことを伝えたということだ。
最初は、お金への罪悪感で「通ってください」すら言えなかった。でも、それは患者さんのためにならない。体がつらくて来ている患者さんに対して、「どうすればよくなるか」を伝えないほうが不誠実だ。
問診→検査→カウンセリングの流れも同じだ。患者さんの状態を正確に把握して、それを誠実に伝える。どれくらいの頻度で、どれくらいの期間が必要か。「よろしければこのまま進めていきます」と。
この流れをしっかり作ることが、仕組み化するということだ。
リピート率を上げるテクニックがあるわけではない。誠実に伝えるべきことを伝え、その流れを仕組みにする。それだけだ。
2つの転機が教えてくれたこと
もし今、リピート率に悩んでいるなら、2つのことを確認してみてほしい。
1つ目:「通ってください」と伝えていますか?
お金への罪悪感で、「お大事に」だけで終わっていないか。患者さんは「どうすればいいかわからない」まま帰っていないか。
2つ目:施術前の流れは仕組み化されていますか?
問診→検査→カウンセリング→施術。この流れの中で、患者さんに状態と治療計画を誠実に伝えているか。
1. 明言する:「よくなるには継続した治療が必要です。まず週に1回来てください」と伝える
2. 仕組み化する:問診→検査→カウンセリング→施術の流れを作り、誠実に治療計画を伝える
特別なテクニックは要らない。誠実に伝えるべきことを伝える。その流れを仕組みにする。
僕はこの2つの転機で、経営が安定し始めた。あなたも、まずは明日から試してみてください。

