「診断と言っていいのか」で
止まったことはありませんか。
医師法の教科書
「治療」と書いていいのか。検査めいたことをしているが、これは医行為ではないのか。
全部、たった1行に戻ります。
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法令・通知が変わったときは追記して更新します。追加料金はかかりません。
天井を引いているのは、この1行です
これだけです。はり師にも、きゅう師にも、あん摩マッサージ指圧師にも、この1行が天井としてかかっています。
そして、条文を何度読んでも答えは出ません。「医業」の中身が、条文に書いていないからです。
「医業」は、2つの要素でできています
答えを持っているのは、条文ではなく通知です。
ここにいう「医業」とは、当該行為を行うに当たり、医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、又は危害を及ぼすおそれのある行為(医行為)を、反復継続する意思をもって行うことであると解している。
── 医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について(平成17年7月26日 医政発第0726005号)
「業」の定義は、あはき法1条とまったく同じです。お金を取ったかどうかではありません。無料だからセーフ、という理屈は通りません。
治療院の施術は反復継続が前提なので、「業」はほぼ常に満たします。つまり考えるべきは「医行為かどうか」の一点になります。
あなたの免許は、この条の「例外」です
医師法17条が「医師でなければ医業をなしてはならない」と言っている以上、本来、医師以外は何もできないはずです。そこに、あはき法1条が名指しで穴を開けています。
免許を持っていることは、何でもできることを意味しません。逆に言えば、この5つの中にある限り、堂々とやっていいということでもあります。
線を知ることは、縮こまるためではなく、安心して踏み込むためです。
条文は52条。踏むのは5条です
全条を載せていますが、治療院が自分の行為として踏むのは5条だけです。
| 条 | 何を縛っているか |
|---|---|
| 第17条 | 医業の禁止。いちばんの本丸 |
| 第18条 | 医師またはこれに紛らわしい名称の禁止 |
| 第19条 | 応招義務と、診断書等の交付義務(医師の義務) |
| 第20条 | 自ら診察しないで治療・診断書を出してはならない |
| 第24条 | 診療録の記載と、5年間の保存 |
読まなくても構いませんが、医師にこれだけの縛りがかかっていると知っておくと、19条・20条・24条の意味が変わって見えます。
罰則は、17条だけ桁が違います
2項に注意してください。医業をしてしまったうえに医師らしい名乗りをしていた場合、罰金が100万円から200万円に上がります。行為と名乗りがセットで評価されます。
「名乗りくらい」と考えないでください。第18条(50万円以下の罰金)だけの問題ではなく、17条の罰そのものを重くする要素になっています。
たとえば、こういうことが書いてあります
あはき師に応招義務はありません。つまり、断ってよい
応招義務(正当な事由がなければ診療を拒めない)は、医師に課されたものです。あはき師にはありません。
自分の手に負えないと判断したとき、断ることは法律上なんの問題もありません。むしろ、医行為に踏み込みそうな依頼は断って医療機関へ案内するのが正しい対応です。「断れない」と思い込む必要はありません。
患者さんに診断書を求められたときも、第19条2項を根拠に説明できます。交付義務を負っているのは医師です。
「医師の指示があるから」は、できる行為を増やしません
看護師には「診療の補助」という仕組みがあり、医師の指示があれば相対的医行為まで担えます。理学療法士・作業療法士も同じ形です。
あはき師には、この仕組みがありません。あはき法1条が許しているのは「行為そのもの」で、条件つきの拡張ではないからです。医師と連携していることは信頼の面では意味がありますが、法律上できる行為が増えるわけではありません。
医業類似行為には、2つの世界があります
あん摩マッサージ指圧・はり・きゅう・柔整は免許がなければ処罰対象。それ以外の医業類似行為は、人体に危害を及ぼすおそれがあれば処罰対象です(最高裁 昭和35年1月27日 大法廷判決の線)。
構造がまったく違います。あなたは前者にいます。免許の範囲内で行う限り、後者の議論に入る必要はありません。
「体温測定はOKと書いてある」は、読み違いです
医政発第0726005号は、別紙で「原則として医行為ではない」ものを列挙しています。体温測定、自動血圧計、パルスオキシメータ、軽微な切り傷の処置……。
ただしこの通知は、介護の現場で「医行為」が不必要に広く解釈され、必要な世話ができなくなっていた状況を受けて出されたものです。介護職員等のための整理であって、治療院で何ができるかを書いたものではありません。この教科書は、そこを間違えないように書いてあります。
中身(7コース・57レッスン)
| コース | 入っているもの | 数 |
|---|---|---|
| はじめに | この法律は、あなたの「天井」を決めている/収録した法令と版 | 2 |
| A 天井 | どこまでが医業か(第17条・通知編① 医業とは何か) | 2 |
| B 線引き | 医業類似行為と、医行為の段階(通知編②③) | 2 |
| C 名乗り | 名称の規制(第18条) | 1 |
| D 医師に課されているもの | 治療院が代われない理由(第19条・第20条・第24条) | 3 |
| E 違反すると何が起きるか | 第31条(拘禁刑あり)・第33条の3 | 2 |
| F 参考 | 医師法の残りの条(免許・試験・行政処分) | 45 |
AとBが、この教科書でいちばん大事なところです。
医師法は1行で「医業をなしてはならない」と言うだけなので、どこからが医業なのかは条文を何度読んでも出てきません。答えを持っているのは通知です。だから通知編があります。
- 医師法第17条等の解釈について(平成17年7月26日 医政発第0726005号)── 医業の定義
- 医業類似行為に対する取扱いについて(平成3年6月28日 医事第58号)── あはき・柔整とそれ以外の線引き
- 無資格者によるあん摩マッサージ指圧業等の防止について(厚生労働省医政局医事課)
- 医行為及び診療の補助についての法令上の考え方(厚生労働省 検討会資料)
すべて原典から引いています。検索結果の要約や、他人のまとめを根拠にしていません。取得日と版も書いてあります。
4つの法律が、同時にかかります
何を書くかの前に、何をしているかが問われます。順番としては、医師法がいちばん手前にあります。
| 教科書 | 縛っているもの | レッスン |
|---|---|---|
| 医師法の教科書(この本) | できることの上限 | 57 |
| あはき法の教科書 | 施術と、その広告 | 113 |
| 景品表示法の教科書 | すべての表示 | 87 |
| 薬機法の教科書 | 物 | 26 |
読む順番について。いま困っているのが「書き方」なら、先にあはき法です。困っているのが「どこまでやっていいか」なら、この1冊を先に読んでください。
なお、4冊ともひとり治療院 自立の教科書に丸ごと収録されています。3冊以上そろえるなら、そちらのほうが安くなります。
こんな方に
- 「診断」「治療」という言葉を使っていいのか、迷ったことがある
- HPやSNSで、どこまで書いていいか判断に困っている
- 検査めいたことをしているが、医行為ではないか気になっている
- 患者さんに診断書を求められて、断り方に困ったことがある
- 他院がやっていることを、自分もやっていいのか分からない
こんな方には向きません
正直に書いておきます。
・「この手技はOK」という一覧表が欲しい方
存在しません。通知は「個々の行為の態様に応じ個別具体的に判断する必要がある」と書いています。同じ行為でも、誰に、どんな状態の人に行うかで変わります。
・他院や他業態を批判する材料が欲しい方
この教科書は自分の線を引くために読むものです。使い方として明記してあります。
・法律相談を求めている方
個別の可否は、最終的に所轄の保健所の判断になります。この教科書は、確かめに行くときに何を聞けばいいかが分かるようにするためのものです。
「診断と言っていいのか」が決まる、
たった1行。
条文は52条。踏むのは5条。判断の本体は、条文の外にある通知3本です。
自分の天井を、自分で引けるようにしておく1冊です。
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