院に物を1つ置いた瞬間、
3つ目の法律が動き出します。
薬機法の教科書
機器を売る。貸す。サプリを置く。セルフケア用品を勧める。
そのとき効いてくるのが、あはき法でも景表法でもない、この法律です。
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法令・通知が変わったときは追記して更新します。追加料金はかかりません。
まず、よくある勘違いから
僕が13年、思い込んでいたことです。
「薬を作るわけじゃないから、関係ない」
僕もそう思っていました。違いました。いちばん効く条文は、こう始まります。
何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない。
── 薬機法 第66条第1項
「何人も」。あはき法7条とまったく同じ書き出しです。資格の有無も、事業者かどうかも問いません。
「院で使っているだけだから、届出は要らない」
そこは合っています。自分の施術で使うぶんには、何も要りません。
変わるのは、患者さんに売った・貸した瞬間です。そして条文には「授与」も入っています。無料で差し上げても対象です。
しかも調べてみると、治療院で扱う機器はほとんどが「管理医療機器」=届出が要るほうでした。
「食品として置いているから、大丈夫」
判断されるのは、成分ではなく目的です。そして判断材料に、これが入っています。
…その物の成分本質(原材料)、形状…及びその物に表示された使用目的・効能効果・用法用量並びに販売方法、販売の際の演述等を総合的に判断すべきものである。
── 無承認無許可医薬品の指導取締りについて(昭和46年6月1日 薬発第476号)別紙
「販売の際の演述」。書いたものだけではありません。受付や施術中に口で言ったことも、判断材料です。
1,899条のうち、読むのは20条です
正直に数字を出します。薬機法は、あはき法の17倍あります。
| 法令 | 条の数 |
|---|---|
| 薬機法 本体 | 642 |
| 施行令 | 290 |
| 施行規則 | 967 |
| 合計 | 1,899 |
全部読むのは無理ですし、読む必要もありません。大半は作る側(製造販売業・製造業)と薬局に向けた条文で、治療院は一生踏みません。
だからこの教科書は、基準を1つだけ決めて条を選びました。
自分がやること(売る・貸す・書く)に、直接かかるか。
選んだのが20条。全体の3%です。残り97%は、堂々と読み飛ばしてください。どれを選んで、どれを選ばなかったかも、理由ごと書いてあります。
中身(7コース・26レッスン)
| コース | 入っているもの | 数 |
|---|---|---|
| はじめに | この法律は「物」を縛る/収録した法令と版 | 2 |
| A 土台 | 自分が扱っている物は、何なのか(1条・1条の4・2条 定義) | 3 |
| B 広告 | いちばん踏むところ(66条 誇大広告・68条 承認前・67条) | 3 |
| C 売る・貸す | 許可と届出の分かれ目(39条の3 届出・39条 許可・24条・25条・40条の2) | 5 |
| D 表示と取扱い | 物に貼り付いて残るもの(54〜56条) | 3 |
| E 違反すると何が起きるか | 措置命令・許可取消し・課徴金・罰則(72条の5/75条/75条の5の2・3/85条・86条) | 6 |
| F 通知編 | 条文の外にある、判断の本体(広告の該当性/適正広告基準/46通知/クラス分類) | 4 |
Fが、この教科書でいちばん大事なところです。
薬機法は、条文だけ読んでも1つも判断できません。66条は「虚偽又は誇大」としか言わず、何が誇大かは適正広告基準が決めます。2条は医薬品を定義しますが、手元の物が医薬品に当たるかは46通知が決めます。だから通知編があります。
たとえば、こういうことが書いてあります
「私も使っています」は、原則できません
愛用者の感謝状、感謝の言葉等の例示及び「私も使っています。」等使用経験又は体験談的広告は、客観的裏付けとはなりえず、かえって消費者に対し効能効果等又は安全性について誤解を与えるおそれがあるため以下の場合を除き行ってはならない。
── 医薬品等適正広告基準 解説及び留意事項(平成29年9月29日 薬生監麻発0929第5号)
治療家がいちばんやりがちなところです。患者さんからの感想を載せるのも、同じ理由で止まります。例外は「使用感」の説明だけ。「気持ちよかった」は使用感、「楽になった」は効能効果です。
臨床データを出すほうが、危ないことがあります
根拠を示すほうが誠実に見えます。逆です。一般向けの広告では、臨床データの例示は原則として行わないこととされています。理由は「説明不足になるから」。
景表法の不実証広告規制(15日で根拠を出せ)とは向きが逆です。両方を満たすには、根拠は手元に持ち、広告には書かないことになります。
同じ「毫鍼」でも、届出が要るものと要らないものがあります
| 一般的名称 | 別表 | 手続 |
|---|---|---|
| 単回使用毫鍼 | 第2(管理医療機器) | 届出が要る |
| 再使用可能な毫鍼 | 第3(一般医療機器) | 要らない |
名前で判断すると、間違えます。クラス分類告示の別表から、治療院で扱う機器を実際に引いた一覧が入っています。低周波治療器、電位治療器、ベッド型マッサージ器、家庭用電気マッサージ器……ほぼ全部が別表第2(届出)でした。
そもそも「広告」に当たるかは、3要件で決まります
一 顧客を誘引する(顧客の購入意欲を昂進させる)意図が明確であること
二 特定医薬品等の商品名が明らかにされていること
三 一般人が認知できる状態であること
── 薬事法における医薬品等の広告の該当性について(平成10年9月29日 医薬監第148号)
3つ全部を満たしたときだけかかります。わずか453字の通知ですが、入口をここが決めています。あはき法の3要件と同じ構造で、違うのは②だけ。並べて読めるようにしてあります。
3つの法律が、同時にかかります
物を売るとき、治療院には3本の線が引かれます。
| 法律 | 縛っているもの | 広告違反の罰則 |
|---|---|---|
| あはき法 | 施術と、その広告 | 30万円以下の罰金 |
| 景品表示法 | すべての表示 | 100万円以下の罰金 |
| 薬機法 | 物 | 2年以下の拘禁刑 /200万円以下の罰金 |
薬機法がいちばん重い。理由は第1条の目的にあります。守ろうとしているのが「保健衛生上の危害の防止」——つまり命と健康だからです。
そして薬機法には、景表法の課徴金と重なったときの減額を定めた条(75条の5の3)があります。調整規定が置かれているということは、重なるのが前提だということです。
出典は、すべて一次資料から
検索結果の要約や、他人のまとめを根拠にしていません。
| 資料 | 出どころ |
|---|---|
| 薬機法 条文 | e-Gov法令検索 現行版 |
| 医薬品等適正広告基準/解説及び留意事項 | 平成29年9月29日 薬生発0929第4号/薬生監麻発0929第5号 |
| 広告の該当性について | 平成10年9月29日 医薬監第148号 |
| インターネット広告の該当性 Q&A | 平成26年5月22日 薬食監麻発0522第9号 |
| 46通知+改正2本 | 昭和46年6月1日 薬発第476号 ほか |
| クラス分類告示 | 平成16年7月20日 厚生労働省告示第298号 |
引用するときは、文書名・発出日・通知番号・該当箇所まで書いてあります。読んだ方が自分で確かめられるようにするためです。
画像PDFで本文が機械で読めなかった2点は、引用していません。内容を紹介したくなっても、根拠にできないものは使わない。そう決めています。
こんな人へ
- 院で機器やサプリを売っている・貸している
- セルフケア用品をすすめている
- 「この機器で◯◯が楽になります」と書いたことがある
- 患者さんの感想や、使用前・使用後の写真を載せている
- 海外から取り寄せた機器を院に置いている
- あはき法・景表法は読んだが、薬機法は手つかず
正直に、線を引いておきます
これは法律相談ではありません。条文と、厚生労働省が出している通知・基準を読み解いた教材です。個別の可否は、最終的に所轄の都道府県・保健所の判断になります。薬機法は薬務主管課が窓口になることが多く、あはき法とは担当部署が違います。
1,899条のうち20条しか載せていません。治療院が踏む条だけに絞った教材です。製造販売業・薬局・行政手続は扱っていません。網羅した本ではないことを、先に書いておきます。
一人治療院で課徴金が出る場面は、多くありません。売上額の4.5%で、課徴金額が225万円未満なら命じられない(75条の5の2第4項)。逆算すると売上5,000万円です。盛りません。現実的に効くのは、措置命令と、その公表のほうです。
内容は 2026年9月30日 時点の法令・通知に基づきます。裏の取れなかったことは書いていません。断定できないことを断定しないのが、この教材の方針です。
3冊で、ひととおり揃います
治療院にかかる法律を、それぞれ1冊にしてあります。
| 教科書 | 縛っているもの | レッスン |
|---|---|---|
| あはき法の教科書 | 施術と、その広告 | 113 |
| 景品表示法の教科書 | すべての表示 | 87 |
| 薬機法の教科書(この本) | 物 | 26 |
読む順番について。物を売っていない院なら、薬機法は後回しで構いません。先に景表法です。物を売っている・貸している院なら、この1冊を先に読んでください。罰則がいちばん重いのはこちらだからです。
なお、3冊ともひとり治療院 自立の教科書に丸ごと収録されています。3冊以上そろえるなら、そちらのほうが安くなります。
院に物を1つ置いた瞬間、
3つ目の法律が動き出します。
売る前に、貸す前に、書く前に。20条と4本の通知で、自分の院の線を引いておく1冊です。
買い切り ¥980 税込
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