
自立の教科書 第2章 / 03 of 03 / 全文無料
休みを先に入れないと、
続きません
一人でやっていると、休む=売上が止まる、になります。だから休みを削りたくなる。でも削り続けた先に「ずっと続ける」はありません。
登録もお支払いも要りません。そのまま全文読めます
最後は、続ける話です。
一人治療家として、ずっと続けたい。そう思っている方は多いはずです。僕もそうです。組織を大きくしたいわけではなく、現場に立ち続けたい。
では、続けるにはどうしたらいいか。答えはシンプルで、休みを入れることです。
一人でやっていると、休む=売上が止まる、になります。だから休みを削りたくなる。気持ちはよく分かります。でも、削り続けた先に「ずっと続ける」はありません。
開業1年目、僕は休みを決めていませんでした
ここまで書くと「最初から計画的にやってきた人」と思われるかもしれませんが、まったく違います。
開業1年目の僕は、休みをしっかり設けていませんでした。
形の上では「日曜休み」と言っていました。でも、日曜に「どうしても入りたい」という患者さんがいたら、普通に入れていたんです。
なぜ入れていたのか。「今、患者さんが求めている。今入れないとこの患者さんは来れない」と思って、そちらを優先していたからです。
優しさのつもり、サービス精神のつもりでした。でも、これが僕を追い詰めました。
休んでいるはずなのに、休めていない
物理的に時間がない、というより、「もしかしたら今日も予約が入るかもしれない」と気持ちが常に仕事モードのまま。休んでいるはずなのに、休めていない。
家族との関係も、少し良くない時期がありました。仕事の頭のままで家族と接していたので、ちょっとしたことでぶつかりやすくなっていました。
そして自分自身、いつ休めているのか分からない。常に交感神経過緊張のままで過ごしていました。
ここに、決定的な矛盾があります
僕たち治療家は、患者さんに対して「交感神経過緊張こそが不調の原因です」と説明しています。
それなのに、自分自身が交感神経過緊張のままで臨床に立っている。
これ、本末転倒じゃないですか。
このことに気づいたのが2年目で、そこから休みをしっかり取るように変えていきました。
11ヶ月走って、1ヶ月で熱を出していた
参考までに、独立前のJリーグトレーナー時代の話もしておきます。
トレーナー時代は、11ヶ月仕事をして1ヶ月休むというサイクルでした。これはこれで悪くなかったんです。
ただ、その1ヶ月の休みに入ると、毎年のように大熱を出していました。ずっと走り続けていた緊張が一気に抜けて、身体が「もう限界です」と悲鳴を上げる。
人間は環境にうまく合わせられる生き物なので、そのサイクルでも回せました。でも、ずっと続けられたかと言われると、僕はできなかった。このサイクルは10年が限度でした。
だからこそ、独立してからは「年間を通して一定のリズムで休める仕組み」を作る方向に振りました。

大事なのは、コントロールできているか
判断基準として、2つの質問を置いておきます。
- 自分でしっかりオン/オフを切り替える仕組みが作れているか
- 休みが患者さんとしっかり共有できているか
この2つにYESと答えられるなら、休み方の形は何でもいいです。GWに10連休するのも全然OKです。僕のように「祝日関係なくリズム重視で定期的にやる」のもOKです。
大事なのは、自分でコントロールできているか/休めているか。ここで判断するといいと思います。
一番怖いのは「予約が入らないから休み」になること
最後に、一番気をつけてほしいことをお伝えします。
「予約が入らないから今日は休もう」
これ、一見すると休めているように見えますが、まったく休めていません。なぜなら、予約が入る可能性をずっと気にしながら過ごす日になるからです。
「電話鳴ったら出なきゃ」「キャンセル分埋まらないかな」と頭の片隅で考え続ける。これだと結局、交感神経過緊張のままです。これは絶対に避けてください。
ぜひ、前もってスケジュールに休みを入れること。「この日は休み」と決めて、自分にも患者さんにも宣言する。これが、本当の意味で休める治療家への第一歩です。
「休んだら売上が落ちる」への答え
最初の問いに戻ります。「休んだら売上が落ちるんじゃないか?」
短期的には、起こるかもしれません。休んだ日の売上が、その月の売上に直接響くこともあるでしょう。
でも長期的に見たら、絶対に起こりません。なぜなら、休めない治療家は長くは続けられないからです。
数ヶ月や1年の売上ではなく、5年・10年・20年の売上で考えてください。休めない治療家が10年で消えていく中、休める治療家は20年・30年と続いていきます。トータルの売上で見たら、休んでいるほうが圧倒的に上です。

続けるために必要な、4つの時間
続けるために必要なのは、この4つの時間だと思っています。
- 休む時間 … 身体を戻す。ここが削れると、施術の質から先に落ちます
- 家族との時間 … 何のために働いているのかを見失わないための時間
- 地域との時間 … 一人治療院は、地域と深く関わるほど強くなります
- 自分の時間 … 技術を磨く、学び直す、身体を動かす
僕がほしかったのは、まさにこれでした。家族との時間。技術者として一生現場に立ち続ける自由。地域と関わりながら、人生を犠牲にしない働き方です。

この4つを取るために、前の章がある
そして、ここが大事なところです。この4つの時間は、精神論では取れません。
休んでも成り立つだけの利益が要ります(教科書 第1章・固定費最適化)。数字が読めて、お金の不安が消えている必要があります(第3章・経理税務)。自分がいなくても回る仕組みが要ります(第4章・施術の仕組み化/第5章・システム構築)。そして、それを一人で作るための相棒が要ります(序章・AIエージェント)。
つまり、この教科書の残りの章は全部、この4つの時間を取り戻すための手段です。マインドセットの最後にこれを置いたのは、そういう意味です。
今日やること
手帳を開いて、来月の休みを先に入れてください。予約が埋まってから休みを探すのではなく、休みを先に置いてから、予約を入れる。
順番を逆にするだけで、続けられる形に一歩近づきます。