
はじめに|集客の前に、順番の話をします
こんにちは、矢上真吾です。
合同会社e-lifeの代表をしております。ひとり治療院AI自立化サポートをやっている鍼灸師です。
今日は「施術の仕組み化」の話をします。
開業している先生、これから開業する先生の中で、新規集客に力を入れている方は多いと思います。チラシを作る、ホットペッパーやエキテンに出す、インスタを毎日更新する、Googleのクチコミを集める、広告を回す。
やること自体は、間違っていません。
ところが、集客の結果として来てくれた新規の方が、2回目につながらない。1回来て終わり。あるいは2〜3回で途切れる。だから毎月また新規を集めないといけない。
気がつくと、集客のために働いているような状態になっている。
ここで「もっと集客を頑張ろう」と考えると、同じことの繰り返しになります。問題は集客の量ではなく、初回に来た人が院を出るまでの間に何が起きているか、そこにあります。
具体的に言うと、問診・検査・評価・施術、この四つの流れが初回の中でできているかどうかです。
※ この記事は、ポッドキャストで話した内容を記事にしたものです(Spotifyで聴く)。
1. 開業当初、僕は「分からないまま」帰していました

偉そうに書いていますが、僕自身、開業した当初はこの流れができていませんでした。
来院された方に「どうされました?」と聞いて、「腰が痛くて」と言われたら、二言三言聞いてすぐベッドに上がってもらう。そこからは自分の得意な施術をして、終わったら「少し楽になりましたか?」「またお待ちしていますね」で送り出す。
自分としては、良い施術をしたつもりです。実際、その場では楽になっていることも多い。
でも、相手の立場に立つと、こうなります。
初回に残る、四つの「分からない」
- 自分の腰痛の原因が何なのかを聞いていない
- 今日、何をされたのかを説明されていない
- なぜその施術で良くなるのかが分からない
- 次にいつ来ればいいのか、あと何回くらい必要なのかが分からない
分からないことが四つも残ったまま、帰ることになります。
人は、分からないものにお金と時間を使い続けられません。
だから、その場で楽になっていても、次につながらない。
これは施術の腕の問題ではなく、流れの問題です。当時の僕は、それを「まだ集客が足りないからだ」と考えていました。
2. 初回は「問診・検査・評価・施術」の順で回します

やることは一つです。問診・検査・評価・施術の四つを、この順番で、初回に必ずやる。
それぞれの役割と、なぜこの順番なのかを書きます。
問診|聞き切る時間。先生が答えを出さない
問診は「あなたの話を聞く時間」です。主役は相手で、先生が話す番ではありません。
聞くことは、どこが、いつから、どんなときに、何をすると、どう困っているのか。それから、その痛みや不調のせいで日常生活で何ができなくなっているのか。仕事に支障があるのか、趣味ができないのか、家事がつらいのか。
ここで大事なのは、相手が話し終わるまで聞き切ることです。
腰痛の話を聞いている途中で「あ、それは腸腰筋ですね」と先生が説明を始めると、相手はそこで話すのをやめます。先生が答えを出してしまったので、それ以上話す必要がなくなるからです。
こちらは親切のつもりなんです。でも、本当に聞くべきだった情報が出てこないまま、次に進むことになります。
問診の段階では、原因の話も施術の話もしない。ただ聞く。ここで集めた情報が、次の検査の土台になります。
検査|問診で聞いたことを確かめて、基準をつくる
検査は、問診で聞いた内容をもとに、身体の状態を確かめるためにやります。
可動域を見る、姿勢を見る、圧痛を確認する、動作をしてもらう、筋力を見る、神経の反応を見る。検査の種類はたくさんありますが、全部やる必要はありません。
問診で「朝起きたときが一番つらい」「前かがみになると痛い」「長く座っていると立ち上がりがつらい」と聞いていれば、確かめるべきポイントは絞られます。「この話を聞いたから、ここを確かめる」という形で検査を選ぶ。
だから順番が問診→検査なんです。
検査を先にやると、何を確かめているのか自分でも分からなくなりますし、相手にも「なぜこの検査をされているのか」が伝わりません。問診の内容を受けて検査をすると、相手からは「自分の話をちゃんと聞いて、それを確かめてくれている」と見えます。
もう一つ、検査には「基準を作る」という役割があります。初回に可動域や動作を確認しておけば、次回以降に同じ検査をして、良くなっているかどうかを相手と一緒に確認できます。これが後の通院の根拠になります。
評価|原因・方法・ペースを伝えて、同意をもらう
評価は、問診と検査の結果を合わせて、今の状態を相手に説明する時間です。ここが初回の中で一番大事な場面です。
話す順番はこうです。
- 原因は何か。「問診でこう言われて、検査でこうだったので、今の痛みの原因はこれだと考えています」と、問診と検査の事実を根拠にして話します
- 何をしたら良くなるのか。原因に対して、どういうアプローチをするのかを説明します
- どれくらいのペースで、どれくらいの期間なのか。「最初の2週間は週2回、そのあと週1回に減らして、1か月半で日常生活の支障をなくすことを目標にします」というように、通う間隔と期間の見通しを具体的に伝えます
ここまで話して、「では、この方針でやっていきましょう。よろしいですか?」と同意をもらう。同意をもらってから、はじめて施術に入ります。
なぜ同意が必要なのか。
相手が自分の状態と道筋を理解して「お願いします」と言った時点で、その人はもう「通う人」になっているからです。施術の前に、通うかどうかが決まる。これが評価の役割です。
僕が開業当初にすっぽり抜かしていたのが、まさにここでした。
施術|評価で話したことを実行する
同意を得たうえで施術をします。ここまで来ていれば、施術は評価で話したことを実行するだけです。
施術中も「今、評価でお話しした原因のところをやっています」と一言添えると、相手は自分が何をされているのかを理解しながら受けられます。
施術が終わったら、初回にやった検査をもう一度やって、変化を一緒に確認する。そして評価で話したとおりに「では次は◯日後にお願いします」と、次回を決めて送り出します。
3. 通うかどうかは、施術の前に決まっています

この流れを作ると、施術をする前の段階で、その人が通ってくれるかどうかがだいたい決まります。
評価の時点で、相手は自分の状態と道筋を理解して、それに同意しているからです。
逆に言うと、この流れができていない状態で新規集客に投資しても、入ってきた人がそのまま出ていきます。
4. 穴の空いたバケツに、水を入れていました

穴の空いたバケツに水を入れているのと同じで、集客するために集客している状態になります。
当時の僕がそうでした。チラシを作る、ポータルサイトに出す、SNSを毎日更新する、クチコミを集める、広告を回す。やること自体は間違っていません。ただ、順番が逆でした。
なので、優先順位はこうです。
- 初回の四つの流れを作る
- それができてから集客に投資する
「新規は来るけど続かない」「毎月集客に追われている」と感じている先生は、集客の前に、まず初回の四つの流れを見直してみてください。
5. 今日から始める3ステップ

Step 1|四つを分けて進める
次に来る初回の患者さんで、問診・検査・評価・施術の四つを、意識して分けてやってみてください。紙に四つ書いておいて、今どこをやっているかを自分で確認しながら進める。これだけでも変わります。
Step 2|しゃべった割合を数える
問診の間、自分が何割しゃべっているかを数えてみてください。相手が7割、自分が3割以下になっているか。
Step 3|同意をもらってから触る
評価で「原因・方法・ペース」の三つを口に出したか。そして「この方針でよろしいですか?」と同意をもらってから施術に入ったか。この二点をチェックしてください。
まとめ|まず初回の四つ。集客はそのあとです
- 新規が2回目につながらないのは、腕の問題ではなく順番の問題だった
- 初回に四つの「分からない」を残したまま帰していた。人は分からないものにお金と時間を使い続けられない
- 初回は問診・検査・評価・施術の順で回す
- 問診は聞き切る。先生が答えを出した時点で、相手は話すのをやめる
- 検査は問診を受けて選ぶ。ついでに次回以降の基準にもなる
- 評価で原因・方法・ペースを伝えて同意をもらう。通うかどうかは、ここで決まる
- 流れができる前に集客へ投資すると、穴の空いたバケツに水を入れることになる
流れが定着してくると、初回の説明の内容がほぼ同じになってきます。そうなったら、それを紙やスライドにして見せながら説明できるようにする。ここまでくると「仕組み化」です。毎回同じ質で初回が回るようになります。
集客の話は、そのあとです。
まず、仕組みを作りましょう。
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集客の前にやることが、いくつもありました。
僕がつまずいた順番のまま、先に置いておきます。
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矢上真吾について
鍼灸師歴24年/合同会社e-life代表/和からだみなおし処 院長/著書4冊。
Jリーグ・ヴァンフォーレ甲府のトレーナーを10年務め、千葉県館山市で開業13年目。一人治療家のAI自立化サポートを本気でやっています。