AIにアクセス解析を任せたら、事件が2つ起きた

はじめに|「9人も離脱しています。今すぐ直すべきです」

こんにちは、矢上真吾です。ひとり治療院AI自立化サポートをやっています。

今回は、AIにアクセス解析を任せたら事件が起きた話と、数字の誤報と、治療家だから読める代理検索のリアルというお話です。

僕は、ホームページやWeb予約のアクセス解析を、AIにお願いしています。今回、ちょっと誤報が出たり、危うく大事な患者さんの情報を切り捨てそうになったりした、ここ数日のリアルなお話をしていきます。

1. AIに、毎朝アクセス解析をしてもらっている

これを読んでいる先生で、AIにアナリティクスの分析をしてもらっている方は、あまりいないのかなと思います。なので、まずは僕がどういうことをしてもらっているのかをお話しします。

Googleアナリティクス(GA4)を開いたことがある先生なら分かると思うんですが、数字がいっぱい書いてあるんですよね。これは純粋なマーケターじゃないと、多分あまり分からない。僕もPVなんかを指標にしていたりはしましたが、読んでいても「あ、これぐらいなんだ」というぐらいで、じゃあどうしようか、というところにはあまりつなげられていなかったんです。

そこで、AIにGoogleのAPIをつないで、毎朝8時に自動で分析してもらうようにしました。見てもらっているのは、大きく3つです。

① 来院圏の人数

館山・南房総から、何人ホームページに来たか。

② 予約のファネル

トップページを開いて、メニュー表を見て、Web予約のボタンを押して、予約日を選んで、予約を完了した。この流れを追ってもらって、どこで止まっているかを見ます。

③ 打ち手の効果測定

先週変えたことが、実際にいまどう変わっているか。

僕がAIに向かって「おはようございます」と言うと、この報告が来て、「今後はこういったことが考えられます」と言ってくれるようになりました。止まっているところが分かるようになり、何人ぐらい来ているのかも分かってきて、それが実際に予約で入ってくる数とも合うようになってきた。だいぶ使えるようになってきたなと思っていたところで、2つ、ちょっとしたことが起きました。

2. 事件① 「9人離脱」は、期間のずれた数字の引き算だった

画面の赤い警告を見て、ちび院長があわててホームページを直しかける。ハリーちゃんが袖を引いて止めている

10月1日からの6日間、毎朝AIから、「メニューから予約フォームに進むところで、9人も患者さんが離脱しています。今すぐここを直すべきです」という報告が来ていました。

あれ、と思いました。9人もそんなに離脱されるんだ。料金が分かりにくいのかな。そう思って、ページを変えようかなと思っていたんです。

9人離脱は期間のずれた引き算だった。メニューを見た人は直近28日間、予約ボタンを押した人は直近8日間。AIの報告は9人が離脱、期間をそろえると1〜2人

ところが、よく見てみたら、メニューページの閲覧数は直近28日間の合計、予約ボタンを押した数は直近8日間の合計を出していました。期間がまったく違う数字同士を、引き算していたんです。

期間をそろえて計算し直したら、実際の離脱は1人とか2人だけでした。

こういったことが、AIにはまだ時々起きます。これをそのまま鵜呑みにして「じゃあ修正して」と言っていたら、必要のない修正をしてしまっていた可能性があります。ちゃんと確認が必要だなと思いました。

3. 事件② 「東京のアクセスは無駄」とAIが言った

うちは千葉県館山市という田舎にあるので、アクセスを見ると、結構海外からのアクセスがあったりします。そういうものは全部はじいているんですが、日本国内でも、館山・南房総がもちろん一番多い。ただ、東京都内からのアクセスも一定数あるんです。

これをAIが分析しました。東京の人は遠すぎて来院できないから、このアクセスは成果につながらない無駄なトラフィックとして数字を出します、という感じでした。

もちろんデータ上は、その通りに見えます。来られない地域のアクセスは無駄じゃないですか、というのは分かるんです。でも、僕が現場で感じていることで言うと、ちょっと待ってほしいなと、猛烈な違和感を覚えました。

4. 現場で聞いていた、東京からの「代理検索」

都会のマンションで娘さんがスマホで治療院を探し、海辺の町の院で、お母さんをちび院長とハリーちゃんが迎えている

実際に来院される患者さんのお話です。「東京に住んでいる娘が、ネットでうちを見つけてくれて、『ここ行ってみな』と予約してくれた」。そういうことを、患者さんが言っていたんですよね。

都内で働いている子どもさんが、こっちで一人暮らしをしている父親の体を心配して、電話をかけてきてくれたこともありました。それから、移住をされた方が、うちには一定数来られます。東京から館山に移住してきたばかりで、院を探していた。そういうことを、現場で結構言われていたんです。

なので、東京からのアクセスは、もしかしたら無駄ではない。離れて暮らす親を想う子どもの代理検索かもしれないし、移住された方が、まだ東京に住んでいたときに探していたのかもしれない。

AIはすごく優れています。でも、こういった現場の声は、さすがに分からない。だから、それを入れていくことがすごく大事なんだと思います。

5. 「AIは使えない」でやめずに、現場の文脈を教えた

ただ、ここで「だからAIはまだまだ使えないな」ではないんです。ここで一番やってはいけないのは、こういうことがあって、AIはまだ使えないと思ってやめてしまうことです。

正しいアプローチは、現場で起きていることや自分の考えを、ちゃんとAIと話して、フィードバックしていくこと。そうすると、AIのほうも、そういったことがあるんだと分かるので、今後はこういった可能性があります、ということを言ってくれるようになります。

僕がやったことは、AIに現場の文脈を教えることでした。東京からのアクセスは無駄ではなく、ご家族の代理検索や、移住された方かもしれない。だから別枠で集計してほしい。

直近28日間でWeb予約ボタンまで来た人は来院圏の中5人、外9人。電話ボタンは中1人、外4人。家族の代理検索と移住前の人として別枠で数えるようにした

そうすると翌朝、東京からの家族の代理検索と思われる予約クリックが何件ありました、という報告が来たんです。実際の数字で言うと、直近28日間でWeb予約のボタンまで進んだ人は、来院圏の外から9人、来院圏の中から5人。電話のボタンも、外から4人、中から1人でした。来られないはずの人のほうが、予約の手前まで来ていたことになります。

すごいですよね。どこから来た人が、どこまで行ったのかが分かるんです。普通の人は見られるのかもしれませんが、僕はそういったことを全然勉強してこなかったので、自分では見られないんですよね。

6. AIは、最初から完璧な参謀ではない

ちび院長と画面のAIが同じグラフを一緒に見ている。ハリーちゃんがノートにメモを取っている

AIは、最初から完璧な参謀としてあるわけではありません。こちらで、ちゃんと現場の事実を伝えて、修正して、二人三脚で少しずつ賢く育てていく。それが大事なのかなというのが、今回あらためて思ったことです。

まだ、AIにアクセス解析をしてもらっていること自体が少ないかもしれません。でも、こんな感じでやっていくと、本当にオンリーワンの分析ができてくるので、打ち手の解像度もさらに上がってくるのかなと思っています。

もちろん、先月よかったことが今月も正しいかというと、そうでもなくて。今月はまた調子が悪いんです。難しいですね。それはまた別の回でお話ししたいと思います。

まとめ|AIは、使えないものでも、丸投げするものでもない

  1. AIの「今すぐ直すべき」は、直す前に数字を確かめる(期間がそろっているか)
  2. データ上「無駄」に見えるアクセスにも、現場でしか分からない文脈がある
  3. 間違いが出たらやめるのではなく、現場の事実をAIに教えて育てる
AIは、使えないものでもなく、丸投げするものでもない。ともに、二人三脚で育てていくもの。

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矢上真吾について

鍼灸師歴24年。合同会社e-life代表。和からだみなおし処 院長。著書5冊。
ひとり治療院のAI自立化サポートをやっています。コンサルに頼らず、院長自身がAIを使って集客・仕組み・経営を回せるようになることを目指しています。

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