
はじめに|電気代を、改めて調べました
こんにちは、矢上真吾です。
ひとり治療院AI自立化サポートをやっている鍼灸師です。今日は固定費最適化シリーズとして、電気代の話をします。前回はスマホ代でした。
電気代のところは、僕自身、2021年までに変えています。今は新電力のLooopでんきを使っています。そのぶん、今どうなっているのかが分かっていない部分がありました。それで、改めて調べてみました。
今日の流れはこうです。
- 電気代は、何の足し算でできているか
- 2026年9月の今、電気代のまわりで起きている3つのこと
- 新電力は、今どうなっているのか
- 新電力は、なぜ安いのか
- 安さには、条件が3つある
1. 電気代は「5つの足し算」でできている

まず、そもそも電気代って何の足し算でできているのか、という話からです。
請求書って、みなさん見ていますかね。見ていくと、いくつか料金が書いてあるんですよね。それが何をしているのか、という話をします。
① 基本料金
契約している容量に応じてかかる固定費です。電気を1回も使っていなくても、かかります。
② 電力量料金
使った量に単価をかけたものです。
③ 燃料費調整額
発電に使う燃料の輸入価格に応じて、毎月プラスされたりマイナスされたりしています。
④ 再エネ賦課金
正式には「再生可能エネルギー発電促進賦課金」です。全国一律で、国が毎年単価を決めています。
⑤ 容量拠出金相当額
これは新しい費目です。あとでお話しします。
kW と kWh は別物
単位の話を最初に言っておきましょう。kW(キロワット)とkWh(キロワットアワー)は別物です。
- kW:同時に使う電気の大きさ → 基本料金はkWで決まる
- kWh:使った電気の量 → 電力量料金はkWhで決まる
ここは分けておいたほうがいいです。
請求書には出てこない「託送料金」
そして、請求書には出てこないけれど、中に入っているものがあります。それが託送料金、つまり電線を使う料金です。
これは2023年4月から「レベニューキャップ制度」という仕組みに変わっていて、第1規制期間が2023年度から2027年度までの5年間となっています。誰と契約していても電線は同じものを使うので、ここは同じようにかかっていきます。
2. 2026年9月の今、電気代のまわりで起きている3つのこと

では次に、2026年9月現在、電気代のまわりで何が起きているか。3つあります。

① 補助金が切れる局面にある
2026年夏の電気・ガス料金支援は、9月使用分、つまり10月検針分が最終月になっています。そして10月使用分以降については、2026年9月4日の時点で、政府からの正式な発表はないそうです。
ただ、経緯を見ていくと、支援は終了と再開を繰り返してきています。
- 2024年:1〜5月使用分と、8〜10月使用分
- 2025年:1〜3月使用分と、夏の7〜9月使用分
- 2026年:冬の1〜3月使用分と、夏の7〜9月使用分
夏と冬に集中して行う流れになっているので、この先も動く可能性はあります。収録している今日の時点では未発表、ということだけ押さえておいてほしいです。
なお、8月28日に大手電力10社が公表した9月使用分の料金では、補助の減額と燃料高が重なって、10社が前月比252円から509円の値上がりとなりました。
② 再エネ賦課金が上がった
経済産業省は2026年3月19日に、2026年度の単価を1kWhあたり4.18円と公表しました。2025年度が3.98円なので、0.2円上がっているわけですね。制度が始まってから、初めて4円を超えたということです。適用は2026年5月検針分から2027年4月検針分までです。
この制度が始まった2012年度、そのときの単価は1kWhあたり0.22円。14年で約19倍です。
金額感を出しておくと、月に10万kWh使う事業所であれば、賦課金だけで月41万8,000円という計算になります。治療院でそこまで使うことはありませんけれども、使用量に正比例する費目なので、ちょっときついですよね。
③ 容量拠出金という新しい負担
これは、将来の発電設備を維持しておくための費用を、電気を売る会社が負担して、料金に転嫁される仕組みです。2024年度から負担が始まっていて、これから増えていく見込みです。
※収録では2026年度・2028年度以降の単価(1kWあたりの金額)もお話ししましたが、出典で「年あたり」か「月あたり」かの単位が確かめられなかったので、この記事では数字を載せていません。
つまり、補助金は切れる、賦課金は上がった、容量拠出金はこれから増える。ちょっとずつ上がっている、という状況ですね。
3. 新電力は、今どうなっているのか

では、本題です。新電力って、今どうなっているのか。
僕自身、今、新電力を使っています。Looopでんきというところです。基本料金がかからない、というところがあったので、調べると全然違ったので、変えました。今日は、その今の中身を調べています。
シェアは、低圧で4件に1件
資源エネルギー庁が2026年7月に出した資料によると、販売電力量に占める新電力のシェアは、2026年3月で21.9%。そのうち、家庭や小規模事業所を含む低圧分野は約26.1%、高圧分野が25.3%、特別高圧は11.2%です。
低圧では、4件に1件が新電力という水準になりました。
これ、多いんですかね。まだ僕からすると、少ないなと思いますけれども。
そしてこの数値は、ずっと右肩上がりだったわけではありません。2022年度、燃料価格が上がった時期に、新電力のシェアは一時的に縮小しています。2023年の春に底を打って、そこから回復してきた、という動きになっています。
この縮小した時期に何があったか、というのが、新電力を語るうえで飛ばせないところになります。
2021年度、新電力の倒産は14件
僕が新電力にした2021年度、新電力の倒産が14件発生しています。それまでで最多です。
2021年4月に営業が確認された新電力は、約700社もありました。多いですね。そのうち約4%にあたる31社が、1年のあいだに倒産・廃業・事業撤退などをしています。原因は、燃料価格の高騰による調達コストの増大だそうです。
その後も、倒産・廃業・事業撤退をした新電力は、2022年3月の17社から、2024年3月には119社と、2年で7倍になっています。
一方で、新規の受付を止めていた会社は、2023年3月の約112社から、2024年3月には69社まで減りました。受付を再開した会社も47社あります。
今、小売電気事業者は約800社あるそうです。
結構、倒産は多かったんですかね。でも、多くないなとも思いますけど。
4. 新電力は、なぜ安いのか

では、新電力はなぜ安いのか。4つあります。
① 発電所を持っていない
大手電力は、発電・送電・販売まで一貫して行っています。それに対して新電力は、電気を他社から調達して、販売に特化しています。大規模な発電所の維持管理費や人件費がかからないので、大規模な設備投資や減価償却費を抑えられますよね。この固定費の軽さが、安いプランの原資になっているわけです。
やっぱりですね、設備を持てば固定費が乗りますからね。持たないビジネスというのは、身軽になりますよ、ということです。
② 電線は共用で、そこで差がつかない
新電力に切り替えても、特に問題が起きないというか、実際に使っている側としては、何もサービスに変わりがない。契約だけの話になるので、そこで差がつかない、ということです。
③ 料金設計が自由にできる
規制料金、いわゆる従量電灯とは違って、自由料金は各社が自分で設計できます。
- 基本料金を0にする
- 段階制をなくす
- 夜間を安くする
- ガス・通信とのセット割にする
こうした設計の自由度がある、ということです。
④ 調達の仕組みがある
新電力の多くは発電設備を持たないので、電気の調達が難しい。そのために作られたのがJEPX(ジェイペックス)です。Japan Electric Power Exchange、日本卸電力取引所ということです。2003年に設立されています。
ここでは、日本を9つのエリアに分けて、エリアごとの市場価格で取引しています。電気は保存ができないので、需要と供給を常に一致させる必要があります。これを同時同量の原則といいます。1日を48コマ、つまり30分ごとに分けて取引されています。
5. 安さには、条件が3つある

そして、安さの条件は3つあります。
① 市場連動型かどうか
料金がJEPXの取引価格に連動するプランがあります。市場価格が下がれば安くなるけれど、上がれば高くなる。
実際に、2020年12月から2021年1月にかけて卸市場の価格が急騰して、新電力の料金が高くなった事例があります。2021年1月15日には、1kWhあたり251円という過去最高の値がついています。
先ほどの倒産も、ここにつながるわけですね。F-Power(エフパワー)という新電力は、この冬の市場価格の高騰を受けて、2021年3月に会社更生法を申請しています。負債は約464億円でした。
やばいですね。
※収録では「2022年12月に需給がひっ迫して高騰」とお話ししましたが、確認したところ、急騰は2020年12月〜2021年1月でした。2022年は3月に初めての需給ひっ迫警報が出て、年度を通して燃料高で高止まりしています。
② 燃料費調整額に上限があるか
規制料金には上限があります。自由料金は、各社の設定次第です。ここに上限がないプランは、燃料価格が上がったときに、そのまま乗っていきます。
③ 解約金があるかどうか
合わなかったときに戻れるか、という話ですね。
この3つを見たうえでなら、切り替えは検討に値します。
逆に、この3つを見ずに月々の単価だけで決めると、同じことがもう一度起きたときに、そのまま被ることになります。
なお、契約している会社が仮に倒産しても、電気の供給がそのまま止まることはありません。ただ、速やかに次の会社へ切り替える対応が必要になります。
6. 僕の電気代は、月7,000円から2万円

いかがでしょうか。
僕自身は今、Looopでんきというのを使っているんですけど、これ、今安いんですかね。他の電気代とは、結局比べていないんですけど。
この時期だと上がるんですよ。月2万円くらいになるのかな。ただ、やっぱり安いときは7,000円とかになってくるので、これが高いのか安いのかというのは、人によって違いますけれども。
こういう新電力の今ということで、ちょっとずつ、ちょっとずつ変わってきているよ、と。
もう1つの選択肢としては、自分の土地であれば、太陽光発電というのを考えていくと、また違うんじゃないかなと思います。
まとめ|電気代は、足し算と条件で見る
- 電気代は基本料金・電力量料金・燃料費調整額・再エネ賦課金・容量拠出金相当額の5つの足し算。請求書に出てこない託送料金も中に入っている
- 2026年9月の今は、補助金は切れる、賦課金は上がった(4.18円/kWh)、容量拠出金はこれから増える
- 新電力のシェアは低圧で約26.1%。一方で、2021年度には倒産が14件と、それまでで最多だった
- 新電力が安いのは、発電所を持たない・電線は共用・料金設計が自由・JEPXで調達できるから
- 切り替えるなら、単価より先に市場連動型か・燃料費調整額に上限はあるか・解約金はあるかの3つを見る
本日は、固定費最適化として、電気代の今というお話をさせていただきました。参考になれば幸いです。
用語
- kW(キロワット):同時に使う電気の大きさ。基本料金を決める
- kWh(キロワットアワー):使った電気の量。電力量料金を決める
- 燃料費調整額:燃料の輸入価格に応じて毎月プラス・マイナスされる額
- 再エネ賦課金:再生可能エネルギー発電促進賦課金。全国一律で国が毎年単価を決める
- 容量拠出金:将来の発電設備を維持するための費用。電気を売る会社が負担し、料金に転嫁される
- 託送料金:電線(送配電網)を使う料金。請求書には出てこないが中に入っている
- レベニューキャップ制度:託送料金の決め方。2023年4月から。第1規制期間は2023〜2027年度
- 規制料金/自由料金:規制料金は従量電灯などの従来の料金(燃料費調整額に上限あり)。自由料金は各社が設計する料金
- JEPX:Japan Electric Power Exchange(日本卸電力取引所)。2003年設立。30分単位・1日48コマで取引
- 同時同量の原則:電気は保存できないので、需要と供給を常に一致させる必要があるという原則
- 市場連動型プラン:料金がJEPXの取引価格に連動するプラン
出典・参考にした数字の出どころ
- 経済産業省(2026年6月12日)電気・ガス料金支援/資源エネルギー庁 電気・ガス料金支援(7〜9月使用分。過去の経緯:2024年1〜5月/2024年8〜10月/2025年7〜9月/2026年1〜3月)
- 九州電力(2026年8月28日)/中部電力ミライズ(同)(9月使用分の料金。値上がり幅の最小252円・最大509円)
- 経済産業省(2026年3月19日)2026年度の再エネ賦課金単価(4.18円/kWh)
- 電力広域的運営推進機関(OCCTO)容量拠出金 説明会資料
- 資源エネルギー庁(2026年7月7日)電力小売全面自由化の進捗状況(PDF)(新電力シェア・小売電気事業者 約800者)
- 帝国データバンク 新電力会社の倒産動向/同 2024年3月の調査(PDF)/同 F-Power 倒産速報
- 電力・ガス取引監視等委員会 2020年度冬期のスポット市場価格高騰(PDF)/資源エネルギー庁 2022年3月の需給ひっ迫の検証(PDF)
- JEPX 会社概要/JEPX スポット市場
- 電力・ガス取引監視等委員会 レベニューキャップ制度/資源エネルギー庁 燃料費調整制度
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矢上真吾について
鍼灸師歴24年/合同会社e-life代表/和からだみなおし処 院長/著書5冊。
Jリーグ・ヴァンフォーレ甲府のトレーナーを10年務め、千葉県館山市で開業13年目。一人治療家のAI自立化サポートを本気でやっています。